やまとやの夜


~この話は実話を元に、脚本化したものです~

登場人物

筆者

部下君

場所:田町・やまとや

時間:夜八時すぎ

[ごった返す店内。二人が酎ハイのジョッキを合わせる]

部下君「先輩から誘われたの、今年に入ってまだ2回目ですよ」

筆者「え、そんなに経った?」

部下君「ええ。最近は部下さんと笑いながら仕事して、毎日楽しそうじゃないですか。もうボクのことなんて眼中にないでしょ」

筆者(ニヤケながら)「いやいや、春から夏にかけて忙しかったの知ってるだろう。気づいたら季節が一周してたよ」

部下君「へぇ~。忙しい人は違いますねぇ」

[彼は笑いながらも、唇についた水をぬぐう。少しだけ寂しそうだ]

筆者(心の声)

そりゃそうさ。部下さんは一言で十動く。

君は三言で一歩……いや、半歩か。

もう少し前向きに仕事して欲しいんだよな。

[2杯目。3杯目。チューハイのペースが早い]

部下君「やっぱ、こうやって飲むの、いいっすね」

筆者「まぁ、たまにはな」

部下君「“たまには”って言葉が便利ッスよねぇ、先輩」

筆者(心の声)

「こういうキレのある切り返しは一級品なのに、惜しいねぇ。部下さんと月1、君とは四半期くらいに、、、」

[小皿をつつきながら、互いに苦笑。グラスがまた満たされる]

筆者「そろそろお会計するか」

部下君「えぇ~!? 今年2回目なのに、それは冷たくないですかぁ~」

筆者「でた。またその手か!1杯だけ、な?」

[そして結局、都合5杯となり、千鳥足。酔いの笑い声が夜風に溶けていく]

[11時半過ぎの電車。ハッと目を開く]

-駅のホームのアナウンス-

「京成八幡です。この電車成田空港行き最終電車です」

筆者(心の声)

クソっ、やっちまった。久々に喰らった乗り過ごしの刑。

[スマホを見やる。部下君から「また行きましょう!」のメッセージ。]

筆者(心の声)

次は年度末あたり、、、だな。


※(部下君の名誉のため)文中の、「君は三言で一歩……いや、半歩か。」については、かなり盛った表現となっています(爆)