とある日のこと

居残り仕事を終えた夜、

ちょっと小腹が空いたのを言い訳に、ふらりと ゆで太郎の弟分・もつ次郎 へ吸い込まれていった。

ハイボールに温かいもつと出汁の香りを前にしたら、そりゃあエンジンもかかるわけで。

そこからは坂道を転がるように、行きつけへ。

レモンハイを5杯痛飲し、心身ともに“完全体”。

もう帰ればよかった。

いや、帰るべきだった。

……のに。

なぜだろう。

酔いがほどよく体に回ると、あの黄色い看板が、やたらと優しく見えてしまうのだ。

吸い寄せられるように駅前の松屋へ入り、お約束の真紅の丼が完成。

そして翌朝。

けだるい頭のまま駅のホームに立ち、昨夜の写真フォルダを開き、現場証拠写真を目にする。

「……あぁ、やっぱり行ってたのか、俺。」

スマホをスクロールしながら、昨夜の自分と静かに答え合わせをしていく。

ホームに吹く冬の風が、いつもより少しだけ身にしみた。